新型コロナウイルスに関する法人税等の申告納付期限延長について・住民税との関係性
法人の申告期限延長について
新型コロナウイルス流行の影響に関して、国税庁から、「法人税及び地方法人税並びに法人の消費税の申告・納付期限と源泉所得税の納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ」が公表されています。
これは新しい取扱いではなく、国税通則法11条の「やむを得ない理由」がある場合に認められる措置で、新型コロナウイルス流行に関しては「やむを得ない理由」の範囲を比較的緩やかに認めようというものでしょう。
✅ 包括的ではなく、個別延長。
✅ やむを得ない理由がやんだ日から2か月以内に申告・納付
✅ 申請が必要、ただし原則として「やむを得ない理由がやんだ日」から1か月以内の事後申請でOK
「やむを得ない理由」の内容は、かなり緩めです。FAQを確認してみてください。
また、申告書の余白や源泉所得税納付書(徴収高計算書)の摘要欄等に記載すべき事項がありますので、注意が必要です(FAQに記載例が掲載されています)。電子申告の場合は、「添付書類送付書」の「電子申告及び申請・届出名」欄に入力し送信すれば良いようです。
なお、この措置を適用した場合は法定申告期限と法定納期限が延長され、延滞税も利子税も発生しませんが(延滞税:国税通則法63条②で免除、利子税:国税通則法64条③で63条②を準用)、申告書を提出した日が納期限になりますので、注意が必要です。
■地方税との関係
地方税との関係が気になりますが、法人住民税はそのまま期限延長されるようです。地方税法53条において、「法人税に係る申告書を提出する義務がある法人は、当該申告書の提出期限までに、申告書を提出し、納付しなければならない」(要約)と定められているためです。
一方で法人事業税については、地方税法施行令24条の3において、「申告書の提出期限までに決算が確定しない理由等の事項を記載した申請書を、事業年度終了の日から45日以内に提出しなければならない」と規定されていることが気になります。
国税の申請書は「やんだ日から1か月以内」の申請書提出ですので、平仄が合っていないので、注意が必要と思われます。
なお、東京都は東京都都税条例(17条の2)によって特別な定めがあります。
・理由のやんだ日から2月以内に限り、「地域及び期日を指定して」期限を延長する(2項)。
・理由のやんだ日から15日以内に、申請書に「延長を必要とする理由を証明すべき書類を添付」して提出(3項)。
この「書類」は、税務署へ提出した申請書の控の写しと想定されます(要確認)。とすると国税の申請書を先に出さないといけないですね。
なお、この東京都都税条例の規定と地方税法の規定は、選択適用のようです。
(他の自治体につきましては、それぞれの条例をご確認ください。)
※以上の情報は、令和2年4月9日現在のもので、一部筆者の個人的見解が含まれています。実際に期限延長の取扱いを適用する場合には、必ず顧問税理士か所轄税務署・都道府県税事務所・市町村等へご相談・ご確認ください。