5種類の課税要件とは
一般の方々には聞きなれない用語ですが、税法の世界では「課税要件」という言葉がしばしば登場します。
課税要件とは、「これが充たされると納税義務の成立といった効果が生ずる要件」のことです。
そして、この課税要件には5種類があるとされます。
① 納税義務者
課税要件のトップバッターは、「納税義務者」です。
納税義務者とは、租税債務を負担する者をいいます。
「納税義務者」と「担税者」は異なる概念ですが、納税義務者=担税者となる場合もありますし、納税義務者≠担税者となる場合もあります。後者の典型的な例は消費税で、消費税の納税義務者は事業者や外国貨物を引取る者ですが、担税者は消費者とされます。
② 課税物件
次の課税要件は、「課税物件」です。
課税物件とは、課税の対象となる物や行為あるいは事実のことです。
申告所得税や法人税であれば、課税物件はそれぞれの所得で、相続税であれば相続によって取得した財産、贈与税では贈与によって取得した財産です。消費税は少しややこしくて、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等及び外国貨物の引取りです。
③ 課税物件の帰属
課税要件の3番目は、「課税物件の帰属」です。
これは、②の課税物件が帰属する者が①の納税義務者になるという関係になるため、必要な要件です。
法律的帰属説と経済的帰属説といった学説があります。
④ 課税標準
課税物件の4番目は、「課税標準」です。
税額算出の基礎とするため、③の課税物件を定量化したもの、すなわち金額や価額、数量等で表したものをいいます。
⑤ 税率
課税要件の最後は、「税率」です。これは説明不要でしょう。
税率の高低は課される税額にダイレクトに影響を与えますので、課税要件の中でも最も一般的関心が高いものかもしれません。
税法をスムーズに理解するためには、まずはこれらの課税要件を意識してみると良いかもしれません。