配偶者居住権の評価と消滅時の取扱い

国税庁が、配偶者居住権に係る財産評価方法等について公表しましたね。

配偶者居住権の評価方法

税務上は、以下のように評価することとされます。

 

① 配偶者居住権

建物時価 - 建物時価 ×(残存耐用年数 - 配偶者居住権の存続年数)/残存年数 × 存続年数に応じた法定利率による複利現価率

② 配偶者居住権が設定された建物所有権

建物時価 - 配偶者居住権(①)の価額

③ 配偶者居住権に基づく敷地利用権

土地等の時価 - 土地等の時価 × 存続年数に応じた法定利率による複利現価率

④ 配偶者居住権が設定された建物に係る敷地所有権

土地等の時価 - 配偶者居住権に基づく敷地利用権(③)の価額

 

配偶者死亡の場合・配偶者居住権設定が有期の場合

配偶者が死亡した場合は、配偶者居住権は消滅することとされます。

そのため、これによって相続税等の課税関係は生じないこととされるようです。

また、配偶者居住権が有期で設定されている場合で、これが満期を迎えたときも、贈与税等の課税関係は生じないこととなるようです。

 

配偶者居住権を合意解除した場合・放棄した場合

配偶者居住権を合意解除や放棄した場合で、建物所有者がその対価を支払わなかった場合などは、贈与課税が生ずるものとされるので、注意が必要です。

 

(相続税基本通達 9-13の2)

配偶者居住権が、被相続人から配偶者居住権を取得した配偶者と当該配偶者居住権の目的となっている建物の所有者との間の合意若しくは当該配偶者による配偶者居住権の放棄により消滅した場合又は民法第1032条第4項((建物所有者による消滅の意思表示))の規定により消滅した場合において、当該建物の所有者又は当該建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。)の所有者(以下9―13の2において「建物等所有者」という。)が、対価を支払わなかったとき、又は著しく低い価額の対価を支払ったときは、原則として、当該建物等所有者が、その消滅直前に、当該配偶者が有していた当該配偶者居住権の価額に相当する利益又は当該土地を当該配偶者居住権に基づき使用する権利の価額に相当する利益に相当する金額(対価の支払があった場合には、その価額を控除した金額)を、当該配偶者から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。(令元課資2-10追加)

(注) 民法第1036条((使用貸借及び賃貸借の規定の準用))において準用する同法第597条第1項及び第3項((期間満了及び借主の死亡による使用貸借の終了))並びに第616条の2((賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了))の規定により配偶者居住権が消滅した場合には、上記の取り扱いはないことに留意する。

 

※この記事は、2019年8月2日現在の法令等に拠っています。個別具体的な事案につきましては、顧問税理士等にご相談ください。

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