地域間の税収格差是正が話題です ~地方法人税・地方法人特別税・地方消費税について

東京と地方といった、地域間の税収格差の是正が話題になっています。

もっとも、これは今に始まった問題でもなくて、資本が集中する東京に富が偏在するという状況は従来から続いているものでした。

これを税収の面から是正するために、「地方法人税」「地方法人特別税」といった制度があり、さらに消費税には「地方消費税」もあります。

少し耳慣れないかもしれませんので、ここで整理してみましょう。

 

地方法人税とは

地方法人税は、

「地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図ることを目的として、法人住民税法人税割の税率の引下げにあわせて、地方交付税の財源を確保するため」

に創設されたものです(カッコ内は財務省webサイトより)。

 

地方法人税は、「地方」とありますが、地方法人税法に定める国税で、納税義務者は「法人税を納める義務がある法人」です。

平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用開始になりました。

地方法人税の創設と同時に、法人の住民税の法人税割税率が同程度引下げられましたので、企業側の実質的な負担は変わらなかったことになります。

 

ところで、地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方公共団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保障する見地で設けられています。

そのため、国が国税として地方に代わって徴収し、これを一定の基準によって地方に再配分するというものです。

従来の法人税割では「地方公共団体間の財源の不均衡」がみられたので、国が一括徴収・再配分する方法に少しウェイトを傾けたという趣旨といえます。

(現時点において都道府県ベースでの地方交付税不交付団体は、東京都のみです。市町村ベースでは複数の不交付団体があります。)

 

なお、地方法人税の納税義務者は法人税を納める義務がある法人で、税率は法人税を課税標準にその4.4%と設定されています。

 

 

地方法人特別税とは

地方法人特別税の特徴は、これが「地方間の偏在性が小さい地方税体系の構築が行われるまでの暫定的な措置」であるという点です。

平成20年度税制改正を受けて、「地方法人特別税等に関する暫定措置法」が設けられました。

 

もとは法人事業税の一部を分離して導入されましたが、これも国税です。納税義務者は、「法人」です。

ただし、申告納付は各地方自治体に対して行い、国税通則法の適用がなく(地方法人特別税等に関する暫定措置法7条①)、国税徴収法の規定の適用については地方税とみなされています(同法7条②)。

 

この地方法人特別税は、平成26年度税制改正によってその規模が3分の1縮小され、法人事業税に復元されました。

さらに、平成31年10月1日以後開始事業年度より、地方法人特別税は廃止されることになっています。

 

 

地方消費税とは

地方消費税は、地方税法に基づく地方税です(地方税法・第三節)。

平成9年4月の改正消費税法施行によって、導入されました。

 

地方消費税は「譲渡割」と「貨物割」に分けられますが(詳細は割愛します)、「譲渡割」については本来は都道府県に申告納付すべきであるところ、「当分の間」は国に消費税と併せて申告納付することとされています(地方税法附則9条の4)。なお、「貨物割」は、国に対して消費税と併せて申告納付する方式です。

 

この地方消費税については、最終消費地に税収を帰属させるための清算が行われます。

その際に、都道府県は国に対して「徴収取扱費」を支払うこととされています。賦課徴収事務代行費用ですね。

 

清算については、いわゆる「商業統計」と「サービス業基本統計」の合計額といった消費額基準や、国勢調査による人口、事業所・企業統計による従業者数に基づき、一定の比重で配分する方法で行われます。

ただし、この配分基準は平成30年度税制改正で見直されることになりました。

消費額による基準の比率を下げ、人口基準と折半の形になり、従業者基準は廃止されることになります。

従来の配分方法では、消費や雇用が集中する大都市に配分が偏ることが問題とされたためです。

最終消費地に消費税が帰属することが原則ですので、例えば、地方都市に居住する消費者が大都市圏へ買い物に出かけ、その商品を自宅に持ち帰り自宅で使用するといった場合(「持ち帰り消費」といいます。)等において、従来の配分方法では不具合があるという理由でしょう。

 

なお余談ですが、国税である「消費税」の税率6.3%のうち1.4%は地方交付税にあてられていました(財務省「消費税の使途に関する資料」)。

 

おわりに

普段は「税金は納めるもの」であって、納めてしまえばそれで完結してしまう・・・そんな方も多いようです。

しかしながら、税と国民生活、我々が主権者たる政治、経済は密接不可分の関係にあるといえます。

ときには、「自らが納めた税がどのように使われているか」にも関心を払い、そうした情報に接してみるのがよいのかもしれませんね。

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