金融機関の「債務者区分」とは

ビジネスをしていると、金融機関から資金を融資してもらうこともあるでしょう。

 

そして、「債務者区分」を気にされる方は、

「事業が順調に推移しているときはよかったのに、少し事業の状況が悪くなったせいか、金融機関の態度が厳しいものになったと感じてしまう。」

という方なのかもしれません。

 

金融機関も私企業ですから(政府系金融機関もありますが)、一定の経済合理性で行動します。

融資の際にその指針となるのが、いわゆる「債務者区分」です。

そこで、今回はその「債務者区分」について、ごく簡単にご説明します。

 

債務者区分とは

この「債務者区分」は、その名の通り金融機関から見た債務者、つまり資金の借り手を区分するものです。

区分は、信用リスクの程度に応じて行われます。

決算書などの計数による評価(定量的評価)と計数には表れない部分の評価(定性的評価)の組み合わせによって区分されますが、その手法は金融機関によって異なるものとされます。

その区分は、ランクが高い(信用リスクが低い)ものから順に、

正常先→要注意先(その他要注意先)→要注意先(要管理先)→破綻懸念先→実質破綻先→破綻先

といった流れになります。

 

正常先

業況が良好であって、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者です。

 

要注意先(その他要注意先)

貸出条件に問題がある、業況が低調・不安定・財務内容に問題があるなど、今後の管理に注意を要する債務者です。

 

要注意先(要管理先)

要注意先のうち、

その債務者に対する債権の全部または一部が「貸出条件緩和債権」または3か月以上の延滞債権があるといった債務者です。

 

破綻懸念先

経営破綻の状態ではありませんが、主に実質債務超過である債務者です。

 

実質破綻先

法的・形式的な経営破綻の事実は発生していませんが、深刻な経営難の状態にあって、再建の見通しがない状況にあると認められるなど、実質的に経営破綻に陥っている債務者です。

 

破綻先

法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者です。

(但し、更生計画認可決定を受けた債務者で一定の場合は、破綻懸念先または要注意先と判断できる場合もあるとされます。)

 

 

貸出条件緩和債権とは

貸出条件緩和債権とは、金利減免や金利支払猶予、元本返済減額、約定弁済額の最終回一本化(いわゆるテールヘビー)、手貸から証貸への変更、一部債権放棄の残債権、一部代物弁済の残債権などをいいます。

 

 

実抜計画または合実計画がある場合の取扱い

経営改善・事業再生について一定の計画がある場合には、特別な取り扱いがあります。

 

実現可能性の高い抜本的な計画(=実抜計画)がある場合、または中小企業の場合であれば、合理的かつ実現可能性の高い計画(合実計画)がある場合は、貸出条件緩和債権に該当せず、「その他要注意先」と区分するものされます。

つまり、一定の債務者区分以下であった場合は、ランクアップ効果があることになります。

 

再生支援協議会における数値基準

公的な事業再生支援機関としては、中小企業再生支援協議会が有名です。

この再生支援協議会では、実抜計画及び合実計画に対して、一定の数値基準を設けています。

 

<実抜計画>
3年以内に経常利益黒字化、5年以内に債務超過解消、債務超過解消時点で債務償還年数10年以内

<合実計画>
実抜計画の要件のうち、債務償還年数を10年以内まで許容

 

金融機関の融資姿勢

一般的には、金融機関が破綻懸念先の企業に融資を行うことはありません。

このような場合に新規融資を行うことは、同時に貸倒引当金(貸倒れリスクをあらかじめ損失として見込み計上するもの)を計上し、従って金融機関の決算書上はマイナス要因となるものですから、経済合理性がないためです。

このような行為は、対内的にも対外的にも説明ができないものになるでしょう。

 

 

早めの経営相談を

「事業が少し厳しくなってきたかな」と感じた場合は、できるだけ早めに経営相談へ行かれることをおすすめします。

その場合は、公的な相談窓口がよいでしょう。

 

お近くの商工会議所商工会中小企業再生支援協議会などでは相談を受け付けており、守秘義務も遵守されます。

商工会議所には、「経営安定特別相談室」という特別な窓口が設置されている場合もあります。

 

いずれも無料ですので、まずはひとりで悩まずに、お電話をしてみましょう。

 

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