自己資金要件が緩和されています:日本公庫「新創業融資制度」

 

創業する方にとって、創業資金の確保は大きな問題です。

自己資金+融資で調達する、というのが一般的でしょう。

 

融資で調達する場合、民間金融機関のプロパー融資を期待することは、ほぼできません。

日本政策金融公庫(以下「日本公庫」とします。)の創業融資制度である「新創業融資制度」か、自治体の制度融資を検討することになるでしょう。

 

これらのうち、日本公庫の「新創業融資制度」は、自己資金要件が緩和されているようです。

今回は、この「新創業融資制度」について簡単に見てみます。

 

 

■「新創業融資制度」とは
日本公庫は、国民生活金融公庫・中小企業金融公庫・農林漁業金融公庫の業務を引き継ぐ形で2008年10月に設立された、政府系金融機関です。

 

日本公庫では、かつての3公庫が行っていた業務をそれぞれ内部の「事業」として引き継いでおり、国民生活金融公庫が担っていた業務は、日本公庫においては「国民生活事業」とされています。

 

そして、国民生活事業は、小規模事業者や創業企業に対する事業資金融資を行うものとされます。
今回ご紹介する「新創業融資制度」は、国民生活事業が取り扱う特例制度の1つです。

 

 

■無担保・無保証人
平成26年11月5日現在での、「新創業制度融資」の内容をいくつか見ていきます。

なお、制度の内容は時々変更されますので、ご注意ください。
(日本公庫サイト:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html

 

「新創業制度融資」の最大の特徴は、原則として「無担保・無保証人」である点です。
法人が融資を受ける場合でも、代表者等の連帯保証を求められることがありません。

なお、代表者等が任意で連帯保証人になる場合は、利率が0.1%優遇されます。

 

 

■融資限度額は3,000万円
融資限度額は3,000万円です。ただし、これは設備資金を含んだ金額であって、運転資金の場合は1,500万円が限度となります。

設備資金とは、店舗の開設や機械設備の購入に充てる資金とイメージしてください。

 

 

■どんな人が使えるのか
「創業の要件」「雇用創出・勤務経験等の要件」「自己資金の要件」のすべてに該当する方が利用できます。

 

■「創業の要件」
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方が対象になる…という要件です。

これは特に問題がないと思います。これから開業する方だけではなく、既に開業している方の一部も対象となるという点が特徴的です。

 

■「雇用創出・勤務経験等の要件」
次のいずれかに該当することが必要になります。

1.雇用の創出を伴う事業を始める方
2.技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方
3.現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方
・現在の企業に継続して6年以上お勤めの方
・現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方
4.大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方
5.既に事業を始めている場合は、事業開始時に(1)~(4)のいずれかに該当した方

 

この要件も、特に問題がないことが多いと思います。
勤務時代に経験のある業務で創業する形が多いでしょうから、3の勤務要件に該当することが多いのではないでしょうか。

 

 

■「自己資金の要件」
事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できることが必要になります。

この自己資金要件については、昔は「創業資金の3分の1以上」が必要でした。
現在は大きく緩和されているといえます。

 

そして自己資金要件については、「自己資金要件を満たすものとする」という要件も新たに設けられました。

1.先ほどの「雇用創出・勤務経験等の要件」のうち、3または4に該当する方
2.新商品の開発・生産、新しいサービスの開発・提供等、新規性が認められる方
ア 技術・ノウハウ等に新規性が見られる方
イ 経営革新計画の承認、新連携計画、農商工等連携事業計画又は地域産業資源活用事業計画の認定を受けている方
ウ 新商品・新役務の事業化に向けた研究・開発、試作販売を実施するため、商品の生産や役務の提供に6ヵ月以上を要し、かつ3事業年度以内に収支の黒字化が見込める方
3.中小企業の会計に関する指針または基本要領の適用予定の方

この要件ですが、1~3のすべてに該当する必要があります。

なお、2の要件については、ア~ウのいずれか1つに該当すれば大丈夫であるとのことです。
ただ、この要件は少しハードルが高いかもしれませんね。

 

 

■自己資金の重要性
自己資金要件が緩和されたからといって、自己資金を軽視しすぎることはオススメしません。

創業をするのであれば、事業の見通しとともに、堅実な資金計画を練る必要があります。

 

当たり前のことですが、融資は返済する必要があります。
自己資金があまりにも少ないと、創業後の資金繰りにマイナスの影響を与える可能性が少なからずあるでしょう。

 

そして、自己資金は創業への「本気度」を示すバロメーターにもなります。
自己資金があまりにも少ないと、勢いだけ・無計画・無鉄砲な創業に見えてしまうかもしれません。
(創業には勢いも必要ですが…)

 

勤務時代の給与をコツコツと貯めて一定額をまとめて自己資金にする…などの時間を通じて、創業にかける想いを醸成することが良いのかもしれませんね。

 

なお、融資の判断は、日本公庫の審査結果によります。
従って、すべての要件に該当したからといって必ずしも融資を受けられるわけではない…という点にご留意ください。

 

また、融資申し込みの際には創業計画書等の提出が必要です。
そのため、ご利用の際やご不明な点は、お近くにある日本公庫の営業店や専門家に相談されることをおすすめします。

 

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