法人には4種類があるのをご存じでしょうか。

①株式会社 ②合名会社 ③合資会社 ④合同会社 の4種類です。

このうち ②合名会社 と ③合資会社 については、詳細は割愛しますが、会社の債務に対する出資者の責任が直接的であり、さらに完全に制限されてはいないという点から(直接有限責任・直接無限責任)、新規設立の際にはあまり選択されていないでしょう。


そこで、会社を設立する際には ①株式会社②合同会社 のいずれかを選ぶことになるかと思います。

今回は、この両者の違いについて、簡単にまとめてみます。

 

  株式会社 合同会社
出資者の数 1名以上 1名以上
出資者の責任 間接有限責任 間接有限責任
決算公告 必要 不要
設立時定款認証 必要 不要
剰余金の配当 出資額に比例 出資額に関係なし
意思決定 原則として出資額に比例した議決権 原則として出資者の過半数
役員の任期 最長10年改選 任期の定めなし

出資者(社員といいます)が会社の債務に対して負う責任が間接有限責任(出資者は出資の範囲内において限定的な責任を負うのみ、といった意味です)であることは、株式会社も合同会社も同一です。

大きく異なるのは、合同会社は決算公告や設立時定款認証が不要である点と、役員の任期に定めがない(株式会社は最長でも10年で改選)点です。これらは、コストに大きな影響を与えます。

設立時の費用については後ほど触れますが、決算公告や役員変更登記(任期の到来ごとに必要になります)といったランニングコストについて、合同会社は抑えることができるといえます。

 

次に、設立時のコストについて比べてみます。

  株式会社 合同会社
定款認証手数料 50,000円 不要
印紙代 40,000円
(電子定款認証の場合は不要)
40,000円
(電子定款認証の場合は不要)
登録免許税 資本金×7/1,000
最低150,000円
資本金×7/1,000
最低60,000円
法定費用 計 最低200,000円 最低60,000円
司法書士・行政書士報酬(※1) 50,000円程度 50,000円程度
設立費用 計(※2) 250,000円程度 110,000円程度

※1 司法書士・行政書士報酬については、専門家によって報酬が異なります。
※2 謄本の取得費用等は含まれていません。

 

これを見ると、合同会社では定款認証が不要である点と、登録免許税の最低額が株式会社よりも低く抑えられているため、設立費用の点でも合同会社は株式会社より有利であるといえます。

 

なお、費用のうち印紙代は、電子定款認証という手続をとる場合には不要になります。
ご自身でこの手続きを行う場合には、住民基本台帳カードやICカードリーダー等をご準備いただく必要があります。

一方で、司法書士・行政書士(※3)に依頼する場合には必ず電子定款認証をするはずですので、この部分の費用は削減されます。
さらに、住民基本台帳カード等のご準備をいただく手間を省くことができ、事業目的や定款の内容に関するアドバイスを受けつつ、会社設立の手続きを行うことができます。
ただし、専門家に対する報酬が発生します。その報酬は、削減される印紙代プラスアルファ程度でしょうか。

※3 司法書士に依頼する場合は、設立登記まで依頼することが可能です。行政書士に依頼する場合、行政書士は登記を代行することができませんので、設立登記それ自体はご自身で行っていただくことになります。ご注意ください。

 

専門家に依頼するか、ご自身で書類作成から設立まですべて行ってしまうかは、自由です。
最近は、「会社設立freee」
など、ご自身で会社設立を行うためのサービスも提供されていますから、確認してみるのもいいかもしれません。

 

さて、コストが安いということで良いことばかり強調されてきた合同会社ですが、株式会社に比べて不利な点はないのでしょうか。

合同会社が不利な点は、なんといっても社会的認知度がまだ低い点です。

西友など有名企業が合同会社であったりもするのですが、それでも合同会社と聞いてピンとこない人が少なくないのも事実です。

 

また、株式会社の代表者は、「代表取締役」と呼ばれますが、合同会社の代表者は「代表社員」となります。
この点についても、違和感を覚える方がいるでしょう(合同会社は原則としてすべての社員に代表権がありますが、通常は定款によって代表社員1名を定めます)。

その他、合同会社は株式会社ではないので株式公開(IPO)はできない、合同会社における会社の意思決定は出資額に関係がなく原則として出資者の人数割りであるため、多く出資した者が不満を持つことがある、といった特徴もあります。

 

会社設立をする場合には、これらの事情を総合的に勘案して、ご自身のニーズにあった会社形態を選択する必要があるでしょう。

なお、合同会社から株式会社への組織変更は可能です。当初は合同会社で設立したものの、事業規模の拡大によって株式会社へ変更し、出資を広く募りたい・・・といった場合も対応が可能です。

 

会社設立に関するお悩みについては、公的な相談機関でも無料で相談に応じています。
例えば、全国各地にある「よろず支援拠点」や商工会議所・商工会の経営相談窓口などを利用してみるのも良いかもしれません。

 

勢いで会社設立をしてしまい、失敗してしまったという例も、実は少なくありません。
急いては事を仕損じる、といいますから、慎重に検討してみてください。

 

 

※この記事は2015年8月2日現在の法令等に基づいて作成しています。