最近話題の「外形標準課税」とは?

 

現在、法人税の実効税率引き下げが検討されており、新聞などのメディアでもよく取り上げられています。
その中で、代替財源確保のひとつの案として、外形標準課税の適用範囲を拡大することの是非が議論されていることも、ご存知の方が多いかと思います。

この「外形標準課税」、聞き慣れない方もいるのではないでしょうか。

そこで、外形標準課税とはどのようなものなのか、簡単にご説明したいと思います。

 

■「外形標準課税」は「事業」に課税される税
外形標準課税は、法人事業税の課税方法です。法人事業税は都道府県が課す地方税で、法人の行う「事業」に対して課税されるものです。

なぜ事業に対して課税がされるのか?それは、都道府県は様々な行政サービス(例えば、警察や都道府県道等のインフラ整備など)を通じて事業を支援しているので、事業はその受益に対して税を負担すべきである…という考え方によります。

 

■平成15年度に導入
外形標準課税は、平成15年度の改正で、資本金1億円超の法人について導入されました。

現在議論の俎上にあるのは、この資本金1億円超の大法人だけに限定された適用範囲を、中小企業までさらに広げてはどうか…というものです。

 

■「付加価値」や「企業規模」も課税の対象に
資本金1億円以下の一般の中小企業も法人事業税を負担しますが、外形標準課税によりませんので、法人事業税の税額は企業の所得をもとに計算されます(「所得割」といいます)。つまり、赤字の中小企業などで所得がない場合には、法人事業税が発生しないことになります。

これに対して外形標準課税の適用対象企業では、所得に対する税率を緩和しつつ、所得の他に「付加価値」「企業規模」も課税の対象としています。そのため、外形標準課税の適用対象になる企業では、所得がない場合でも法人事業税が発生する可能性があります。

 

■「付加価値」とは?
「付加価値」の内容については、経営管理等で使われる場合の意味とは異なり、外形標準課税では次に掲げる内容になっています。

・報酬給与額
・純支払利子
・純支払賃借料
・単年度損益

つまり、人件費や正味の支払利息及び賃借料などが、課税の対象とされているわけです。これら付加価値をもとに計算された部分の税額を、「付加価値割」といいます。

 

■「企業規模」とは?
企業規模も課税の対象です。外形標準課税では、企業規模のモノサシとして、「資本金等の額」を使っています。ここで注意したいのは、決算書に表示される「資本金」とは異なり、「資本金等」は税務の世界でのもう少し広い概念という点です。

 

そして、ややこしいのは、そもそも外形標準課税の対象になるか否かを判定するモノサシには、「資本金」を使う点です。税額を計算する段階では、「資本金等」がモノサシとして登場するわけです。

そして、この資本金等をもとに計算された部分の税額を、「資本割」といいます。

 

■外形標準課税対象企業の税額
外形標準課税の適用対象企業では、所得に係る税額(所得割)の他に、付加価値・企業規模それぞれで計算した税額(付加価値割と資本割…これが企業の「外形」を基準とした部分です)も合計して納める必要があります。

 

■なぜ付加価値や企業規模に課税するのか
企業の税負担についての尺度としては、所得がイメージしやすいかもしれません。

ところが、前に述べたように、法人事業税は「行政サービスに対する対価として事業に対して課税する性格を持つ」ものなので、「サービスの受益の尺度としては、所得よりも事業規模とすることが合理的で、この事業規模に応じて広く薄く課税することが公平だ」という考え方がされています。

 

■中小企業への外形標準課税導入の影響
私見ですが、現行の外形標準課税の仕組みは賃金課税といった性格を持ちますので、赤字で労働分配率が高い中小企業の負担感は、相当重いものになると思います。

また、政府は雇用政策・賃金政策による民間消費の拡大を図っています。ここで、もし外形標準課税の賃金課税といった側面だけが企業側に着目されて、雇用や賃金アップが抑制される可能性があれば、そういった影響についても検討する必要があるかもしれません。

 

こういった点だけを考えても、中小企業への外形標準課税の適用範囲拡大については十分な議論が求められるべきで、性急な判断だけは避けてもらいたいと思います。

 

 

Follow me!