平成27年度 与党税制改正大綱 概観(1)法人課税

本日(平成26年12月30日)、平成27年度 与党税制改正大綱が発表されました。
https://www.jimin.jp/news/policy/126806.html

閣議決定は来年(平成27年)1月の予定ですね。

今回は、この大綱の中でも私が気になったものを、何回かにわたって簡単に書き留めてみます。

※記載内容は後から予告なく修正する場合があります。悪しからずご容赦を…

 

税制改正大綱では、冒頭で「基本的な考え方」が述べられます。

平成27年度分については、まず「デフレ脱却・経済再生に向けた税制措置」として、「成長志向に重点を置いた法人税改革」が挙げられていますね。

 

というわけで、まずは法人課税について簡単に見ていきます。

 

 

■法人税率引下げ
現行の法人税率は25.5%ですが、これを23.9%まで引下げます。

平成27年4月1日以後に開始する事業年度について適用されますので、例えば3月決算(事業年度1年)の会社であれば、平成28年3月期からの適用になるものです。

 

資本金1億円以下の中小法人(一定のものを除く)は、所得が年800万円以下の部分について、軽減税率が適用されますね。

この軽減税率については、既に特例税率が適用されています(本来19%→15%)。

 

この軽減税率の特例については、もともと平成27年3月31日までに終了する事業年度が適用期限でした。今回の大綱では、この用期限を2年延長するとの記載があります。

 

 

 

■欠損金繰越控除制度の見直し
内容を大きく分けると「控除限度額の段階的引下げ」と「繰越期間の延長」とがあります。

(1)控除限度額の段階的引下げ
中小法人等については、現行の控除限度額(所得の金額まで)が維持されます

従って、段階的引下げは中小法人等以外の法人(=大企業など)が対象になります。

現行の控除限度額は、繰越控除前の所得の80%相当額です。

 

平成27年4月1日~平成29年3月31日までの間に開始する事業年度
繰越控除前の所得の65%相当額まで引下げられます。

平成29年4月1日以後に開始する事業年度
繰越控除前の所得の50%相当額まで引下げられます。

 

また、新たに設立された法人等については、その設立日等から7年を経過する日までの間は、繰越控除前所得100%相当額の控除限度額が認められます。

この措置は、資本金5億円以上の大法人グループにある法人は対象外とされています。

中小法人等については、もともと繰越控除前所得100%相当額の控除限度額がありますので、この規定による必要はありませんね。

 

その他、更正手続開始決定等があった場合の特例もありますが、ここでは割愛します。

 

(2)繰越期間の延長
現行9年の繰越期間が、10年に延長されます。

これに伴い、法人税の欠損金額に係る更正の期間制限や更正の請求期間を10年間に延長する措置がとられます。

 

この改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度分から適用があります。

例えば3月が決算期の一年決算法人の場合は、平成30年3月期決算分から適用があります。
少し先の話ですね…

 

2月が決算期の一年決算法人では、適用開始時期がさらに遅くなりますね。

3月1日が事業年度の始期になりますので、平成29年4月1日以後に開始する事業年度で最も早く到来する事業年度は、平成30年3月1日に開始する事業年度ですから、平成31年2月期の決算分から適用があることになります。

 

 

■受取配当等の益金不算入制度の見直し
株式等の区分が見直され、課税が強化されます。

・益金不算入割合100%である「関連法人株式等」について、従来は株式等保有割合が25%以上だったものが、改正後は保有割合3分の1超になります。

株式等保有割合が5%以下のものを「非支配目的株式等」として新たな区分に追加し、益金不算入割合を20%とします。

公社債投資信託以外の証券投資信託について、収益の分配の額の益金不算入割合が改められます。従来は2分の1(または4分の1)の金額の50%相当額が益金不算入額だったのですが、改正後は全額が益金不算入になります。

・その他株式等及び非支配目的株式等については、いわゆる控除負債利子の計算対象から除外されます。

 

 

■外形標準課税の拡大
資本金1億円超の法人に課される外形標準課税については、段階的に拡大されます。

詳細は割愛しますが、付加価値割及び資本割の税率が、平成27年度・平成28年度にわたり段階的に引上げられる一方で、所得割の税率が段階的に引下げられます。

なお、付加価値額40億円未満の法人については、一定の激変緩和措置が設けられています。

 

所得割の税率が引下げられますので、前述の法人税率引下げの影響とともに、実効税率引下げの効果を生むことになります。

余談ですが、「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」17において、実効税率の計算上は、付加価値割及び資本割の税率を算式に含めないこととされています。

利益に関連する金額を課税標準とする税金ではないことが、その理由です。

 

 

■地方拠点強化税制の創設
地方創生を目的とした税制が創設されます。

改正地域再生法に基づく「地方拠点強化実施計画(仮称)」について承認を受けた企業については、地方拠点建物等を取得した場合の特別償却・税額控除制度が創設されるほか、雇用促進税制の拡充措置があります。

「地方拠点強化実施計画」については、詳細の公表が待たれるところです。

 

 

その他、研究開発税制の見直し等もありますが、ここでは割愛します。

 

法人課税を眺めてみると、全体としては法人税率引下げと代替財源確保のための課税強化、といったところでしょうか。

 

中小企業のみなさまにとっては、大きく変わるところは少ないかもしれませんね。

ただ、「基本的考え方」において気になる記述がありますので、いくつか拾っておきます。

「資本金1億円以下を中小法人として一律に扱い、同一の制度を適用していることの妥当性について、検討を行う。その上で、中小法人のうち7割が赤字法人であり、一部の黒字法人に税負担が偏っている状況を踏まえつつ、中小法人課税の全般にわたり、各制度の趣旨や経緯も勘案しながら、引き続き、幅広い観点から検討を行う。」

「外形標準課税の適用対象法人のあり方についても、地域経済・企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行う。」

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