利用しにくい?相続時精算課税

最近(でもないですか)何かと話題の相続です。

 

そのような中で、相続時精算課税について話題になることが少なからずあります。

この相続時精算課税については、使い方がなかなか難しい…といった声もよくありますね。
そこで今回は、相続時精算課税の仕組みと特徴、そして注意点について、簡単にまとめてみます。

 

 

■2種類の「贈与」がある
相続税法では、贈与は「暦年課税贈与」「相続時精算課税贈与」の2種類が定められています。

暦年課税贈与は、いわば普通の贈与です。

財産をもらった人(=受贈者)に対して贈与税の課税があり、
もらった財産の総額から基礎控除110万円を控除した残額に贈与税率を乗じて、贈与税が計算されます。

 

一方で、相続時精算課税は特例といった性格のものです。
受贈者に対して課税があることは暦年課税贈与と同じですが、様々な特徴があります。

 

 

■相続時精算課税の概要(贈与時)
相続時精算課税は、贈与者と受贈者の範囲が限定されています。

贈与者は、60歳以上の親または祖父母です。
受贈者は、推定相続人である20歳以上の子または20歳以上の孫とされています。
(この贈与者と受贈者の範囲は、平成27年1月1日後の贈与について適用される税制改正後のものです。)

 

そして、贈与税額については、
相続時精算課税贈与によって贈与を受けた財産の価額から、特別控除額2,500万円を控除した残額に、一律20%の税率を乗じて計算することになります。
この特別控除額ですが、毎年2,500万円あるわけではなくて、複数年にわたって2,500万円です。

つまり、最初の年に1,000万円の相続時精算課税贈与をすると、次の年に使える特別控除額は1,500万円(2,500万円-1,000万円)というわけです。

ここが暦年課税贈与の基礎控除と異なる点です。

 

また、相続時精算課税は受贈者が贈与者ごとに選択するものです。
例えば、「長男が、父からの贈与について、相続時精算課税の選択をする」という形です。

この場合、相続時精算課税の選択をしなかった贈与者からの贈与(先ほどの例では、母から長男への贈与)については、暦年課税贈与の計算方法によって贈与税額を計算します。

 

 

■相続時精算課税の概要(相続時)
次に、相続時の取扱いです。

それまでに贈与を受けた相続時精算課税による贈与財産の価額は、相続時にすべて合算されて相続税額を計算します。

この点も、暦年課税贈与とは異なる点です。
(暦年課税贈与では、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を相続時に合算して、相続税額を計算します。「生前贈与加算」といいます。)

 

そして、相続時精算課税贈与時に既に納めた贈与税額がある場合は、相続税額から控除されます(贈与税額控除といいます)。
相続時精算する課税方式、というネーミングの所以です。

ちなみに、相続時に合算する相続時精算課税贈与に係る財産の価額は、
相続時ではなく贈与時の価額とされることも特徴です。

 

 

■相続時精算課税は撤回ができない
この相続時精算課税を選択する場合は、届出が必要です。

相続時精算課税を選択しようとする最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(=贈与税申告書の提出期間)に、納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を、一定の書類とともに、贈与税の申告書に添付して提出することになります。

 

そして、ここが重要なのですが…
相続時精算課税は、一度選択すると暦年課税に戻すことができません。

特別控除の枠を使い切ってしまったから暦年課税に戻す…といったことはできないので、注意が必要です。

 

 

■相続時精算課税と節税
相続時精算課税は、世代間における早期の資産移転を促進する(贈与税額を軽減する)という趣旨はあるものの、相続時に精算課税されるため、一般的には相続税額の軽減効果はないといえます。
但し、相続時精算課税では相続時に合算される財産価額が贈与時であることから、価値の上昇が見込まれる財産であれば、相続時の税額を抑える効果があるともいえます。

また、賃貸物件等を早期に移転することで、その物件から生まれる賃料収入の帰属を受贈者に移転し、将来の相続財産増加(賃料収入による現預金が増加する分)を防ぐという考え方もあるかもしれません。

 

 

 

■相続時精算課税のデメリット
相続時精算課税は、先ほど挙げた「撤回できない」という点の他に、

➤物納の対象財産とすることができない

 

また、対象財産が不動産であった場合には、

➤小規模宅地等の特例を受けることができない
➤登録免許税や不動産取得税といった流通税が相続時よりも高い

…などといったデメリットもありますので、注意が必要です。

 

相続時精算課税の概要をざっくりと書いてみましたが、以上のようにメリット・デメリットいずれもあって、そのあたりが「活用が難しい」と思われるところなのでしょうね。

 

ご利用をお考えの場合は、事前に専門家へ相談することをおすすめします。

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