タワーマンション節税 課税強化へ

「タワーマンション節税…課税強化、国税庁が指示」とのニュースがありました。

Yahoo…http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151103-00000005-mai-soci

(もとは毎日新聞の記事ですね)

 

 

タワーマンション節税とは何か

タワーマンション節税とは何かというと、相続税の節税手法として最近流行っている手法です。

 

相続税は遺産に対して課税がされます。その際に、その遺産の価値を「評価」します。

そして、相続税法によれば、評価の原則は「時価による」とされます(22条)。

 

現金や預貯金は、その時の額面に近い金額が、相続税法上の時価=評価額とされます。

被相続人が相続開始時点で1億円の普通預金を持っていたら、それは1億円で評価され、

課税のベースになるということです。

 

一方で不動産については、一般的に「財産評価基本通達」に基づいて評価されます。

これが相続税法上の時価とされるわけです。

土地については、路線価に基づいて一定の計算過程を経た評価、

建物については固定資産税評価額に基づいた評価とされます。

 

この評価方法によると、相続税法による時価は本来の時価よりも大きく下げた形で評価されることが多いので、

納税者にとっては本来の時価で評価するよりも有利になるわけです。

 

タワーマンションも同様です。

財産評価基本通達による評価では本来の時価よりも下げて評価されますので、相続税が大きく節減されますね。

 

ところが、タワーマンションでは眺望が良い上層階と下層階とでは、時価…本来の時価が大きく異なります。

一度購入した物件を売却する際には当然に中古物件になりますが、

その際の市場価格の下落の幅が、上層階と下層階とでは大きく異なる…

要するに、上層階では値崩れしないということです。

 

ところが、相続税評価ではマンションの上層階と下層階とで評価方法の区別をしません。

上層階だからといって、特別に高い評価額を算出するわけではないのです。

 

ここで、節税が可能になるというわけです。

 

推定被相続人の手元に、1億円の預貯金があるとします。

これをそのまま現預金として持ち続けていると、

1億円の評価額で相続税が課されてしまいます(基礎控除や債務控除等は無視します)。

 

ところが、これを元手にタワーマンションの上層階を買うと、

1億円の評価額が大きく下落した形で相続税が課されます。相続税を圧縮するわけですね。

 

そして、相続開始後ほどなくこの物件を売却する。

上層階ですから価値の下落がほぼ無いと仮定して、購入価格の1億円に近い価格で売却することができたら、

結果的には1億円を現預金で持ち続けた場合と同じように、手元には現預金が残りますよね。

そして、不動産評価による節税のメリットだけを享受できる、という仕組みです。

 

 

節税スキームの不合理性

この手法が問題視されているのは、いまに始まったことではありません。

専門家の間では、だいぶ前から話題になっていました。

 

そもそも、相続税法22条にいう時価とは「客観的な交換価値」をいうとされています。

それは、

「それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」

のことです。

 

一方で、財産評価基本通達による評価は、簡便的・画一的な評価方法を定めることによって、課税の適正や納税者間の公平を図るという趣旨で行われています。

ですので、この評価基本通達を適用して評価することが著しく不合理である場合には、他の合理的な評価方法によって時価を求めるべきと考えられています。

 

この理屈によると、先のタワーマンションの時価とは何か、ということになりますね。

もともと、相続開始直前にタワーマンションを購入してその後すぐ売却してしまったケースで、財産評価基本通達による評価が否認された事例もありました。

この方針が、今後はより厳格になるということなのでしょう。

 

 

財産評価基本通達による評価が時価よりも高い場合

これまでの説明とは逆のケースで、財産評価基本通達による評価が時価よりも高い場合はどうなるのでしょう。

例えば、不動産鑑定士による評価額が、財産評価基本通達による評価額よりも低い場合です。

 

この場合、その鑑定評価が公正妥当な鑑定理論に従っているというのみでは足りないものとされています。

同一の土地について他の不動産鑑定評価があればそれとの比較において、

または周辺における公示価格や都道府県地価調査による基準地の標準価格の状況、

近隣における取引事例等の諸事情に照らして、

評価通達等により算定された土地の評価額が客観的交換価値を上回ることが明らかであると認められることを要するものとされます。

とはいえ、不動産鑑定評価額が合理的なものであれば、納税者としてはそれを主張する余地が十分にあり得ると思います。

そのためには、信頼できる不動産鑑定士を見つけることも重要ではないでしょうか。

 

 

相続税の節税対策における注意点

相続税における節税対策の特徴は、対策からその効果が発揮される(=相続開始)までの時間が比較的長きにわたり、

対策を講じた時期とは予期せぬ形で法令等が変わってしまっている可能性がある、という点にあります。

タワーマンション節税もそうですし、かつては生命保険金の非課税枠(現行は相続人1人あたり500万円)が縮減されるという話もありました。

 

ですので、節税対策を行う際には、資産の組み換えリスクの他に、

将来の法令改正等リスクもある程度は勘案して行いたいものです。

Follow me!