スイッチOTC医薬品に係る医療費控除の特例とは【H28税制改正大綱】
先日発表された平成28年度税制改正大綱の中で、
「セルフメディケーション(自主服薬)推進のためのスイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の創設」
という項目がありました。
従来の医療費控除はなじみ深いものと思いますが、これはその特例措置にあたるものです。
今回はその内容をすこし整理してみます。
スイッチOTC薬とは
そもそも、「スイッチOTC薬」が何のことかわからない方が多いのではないでしょうか。
まず、「OTC薬」とは「Over The Counter(カウンター越し)」の名称からもわかるように、
ドラッグストアや薬局で販売されている医薬品のことです。
いわゆる「大衆薬」や「市販薬」と呼ばれているものが、これにあたります。
そして、「スイッチOTC薬」とは、
もとは医師の判断でのみ使用が可能であった医薬品が、
OTC薬として販売許可された(スイッチされた)ものをいいます。
「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組」とは
これは、大綱に列挙されていますね。以下の取組がこれにあたるようです。
✅ 特定健康診査
✅ 予防接種
✅ 定期健康診断
✅ 健康診査
✅ がん検診
所得控除される金額
支払った対価の合計額が1万2千円を超えるときの、その超える部分の金額です。
ただし、8万8千円が上限とされます。
OTC医薬品については、現行の医療費控除でも適用対象になるものがあります。
ただ、現行の医療費控除では、
支払った額が10万円または総所得金額等の5%を超える必要がありますので、
OTC医薬品に限っていえば、今回の特例はハードルが下がったといえるでしょう。
なお、医薬品を購入した際の領収書等は、捨てないでおく必要があると思われます。
所得控除の対象
「自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族」
に係るスイッチOTC医薬品の対価を支払った場合に、この特例の適用が可能になります。
ここは現行の医療費控除と同じ考え方でしょうから、特に違和感はありませんね。
適用対象期間
平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間とされます。
平成28年から開始ではないので、先走らないでくださいね。
現行の医療費控除とは重複適用できない
このスイッチOTC医薬品の特例を受ける場合には、
現行の医療費控除は適用ができませんので、ここは注意が必要です。
スイッチOTC医薬品の特例が設けられたことで、これまで医療費控除に縁がなかった方も
適用の可能性が生ずるでしょう。
実務的な取扱いは立法後に整備されるでしょうから、今後の動きに気をつけておきましょう。
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